Interview : BRAND STORY #13 池田拓視 さん

越前打刃物伝統工芸士である池田拓視氏は、700年の伝統を今につなぎ、そして世界へ広める中心人物の一人として注目を浴びている。
学生時代はラグビーに没頭したのちに、打刃物職人として入門し20年が経った。
今回、職人としてのアイデンティティと、サーキュレーター「Simon」の作業場の中での利便性について語ってもらった。

初めまして、今日はよろしくお願いします

よろしくお願いします。

簡単に自己紹介をお願いします。

池田拓視といいます。福井で包丁の伝統工芸士をやっています。

出身は福井なのですか?

いえ、横浜出身です。大学までラグビーやっていました。
まぁ包丁とは関係はないんですが、ポジションはフォワードでフランカーやっていました。

すごいですね。

でも、ラグビーばかりしてたんで大学卒業して何もやることがないっていうか、そんな勉強もやってこなかったんですよね。器用な方でもなかったんで。
で、黙々と一つのことに集中してできるような仕事ってないかなって思ってて。

一人で作業をするのが好きなんですね?

特にそういうわけじゃないんですが一つのことに集中して出来る仕事がいいかなと。今思えばどんな仕事でも、どの職業もそういった部分はあるのかなって思いますが。
それで、母親の実家が包丁の職人の家系だったっていう。じゃあ自分がやってみようっていう感じで始めました。

お母さんは職人だったのですか?

いえ、母親はやっていませんでした。伯父が職人です。
当時は、母親の実家がそういうのをやってるっていうのはもちろん知ってて、常に頭の片隅にはあった感じでした。
お盆とか、実家に帰ってきてとか、正月とか福井に来たときに、TAKEFU KNIFE VILLAGEができる前は、母親の実家の横が工場だったんです。
そんなのもあったので、何となく潜在意識に選択肢の中に入ってたかもしれないですね。

じゃあ門を叩いたのは、大学卒業してすぐですか?

すぐです。自分が入った時は伯父(母の兄)が継いでいて、祖父は引退後既に亡くなっていました。

結構最初の修行って大変だったのですか?

そうですね。大変でした。
伯父は結構こだわる方だったんで、もう半日でも一日中でもとりあえず「立って見とけ」ってことも結構ありました。

じゃあ、立ちっぱなしで見といてみたいな。

そうですね。

じゃあ、本当に見よう見まねで盗めって感じなんですね。

もちろん立っているだけではなくやらせてもらえる作業もあって細かいところをこうしないといけない、ああしないといけないっていうのは、ありました。言われた通りやっているつもりだけどなかなか上手くいかないもんですね。
そんな状況が8年とか10年は続いた気がします。
大学卒業してから18年。ちなみに伝統工芸士になってもう、6年くらい経ちますね。

伝統工芸士の資格を得ることが一人前な感じなのですか?

まあ、それが一人前って言われるとちょっとわからないですけど、一つの基準でもあるかなって思います。
一人前になるにはまだまだたくさんやれる事があると思うので生涯修行かもしれませんね。

今日の作業見てましたけど、感覚的な作業が多いですよね。

手でこう、常に動かしてるからやっぱりどうしてもちょっとずれたりとかってのがあるんですよね。それをいかに修正できるかっていうのも技術だし。

ちなみに先代はもう引退されたんですね。

そうですね、引退しています。

見たところ、ヴィレッジには若い人も多く見るんですが、若い子を募集するのでしょうか?

募集もしますし、自然と職人になりたいと言うパターンもあります。
遠い所だと北海道から来ています。

でもなぜ福井県で、こうした包丁が特産になったのでしょうか?

諸説ありますが、京都の刀匠千代鶴国安が現・越前市に移り住んできて、刀剣を作る傍ら農民の鎌を使作り始めたのが始まりだとも言われてますね。700年前だから南北朝時代ですね。
また越前漆器の漆を求め漆かき職人が全国に行商に行きその時に越前の鎌を売り全国に広まりました。江戸時代中頃から明治時代頃まで鎌の生産量が日本一だった時期もあるようです。

海外での人気について聞きたいのですけど、どんなタイミングで海外に広まったんでしょうか?

そうですね、親方たちがタケフナイフビレッジを作った頃から自分が入った頃は包丁の需要がかなり低迷している時期でした。そこから実は数十年前からちょっと海外では火がつき始めて、日本の商社の人がそういうところとうまく繋いでくれて海外の展示会、イベントをしたりして徐々に人気が出た気がしてます。
ちなみに海外には包丁マニアが結構います。

包丁を英訳すると「ナイフ」なんですが、海外での包丁はここで作っているようなタイプの包丁(ナイフ)ってあるのですか?

今は結構流通しているのでありますね。海外でもマネて作ってるところとかも結構あります。

海外でマネる人っていうのはアジア系の人とヨーロッパ系とどちらが多いでしょうか?

ヨーロッパ系とかアメリカ系とかの人が多いですかね。徐々にアジア系でも出てきていますね。研究熱心の人が結構いたりしますので、僕らもそれに負けないようにしないといけないですね。
でないと、(この前のオリンピックみたいな)柔道みたいになっちゃいますね。

職場の換気状況とかも聞きたいんですが、職場はものすごく暑いですよね?

めちゃくちゃ暑いです。
とはいえ、そこらじゅうで火使ってるし、そこらじゅうで機械がガッチンガッチン落ちるから、涼しくなる要素はゼロです。なので、冷やすことはできないのでサーキュレーターとかで空気循環作るのがベストな選択です。

なるほど。じゃあ、サーキュレーターの存在はベストマッチングなのですね。

そうですね。夏場は、普段は本当に扇風機とか、直で当てたりとかするので、すごく助かりますね。
Simonは普通の扇風機より全然強いので重宝してます。

逆に、ここがあればいいなと思うところはどこでしょうか?

強いていえば、手入れをしやすくなればよりいいかなと思っています。
もっともデザインもいいので自分は満足していますね。ここら辺も大事ですね。

今日はありがとうございました。
今後のご活躍を楽しみにしています。

プロフィール
池田 拓視
安立打刃物(創業1873年) 5代目。
2019年に越前打刃物の伝統工芸士として認定される。
抜群の切れ味を誇る池田氏が打つ越前打刃物は国内外から大きな評価を得ており、イベントやデモンストレーションを通じ日本の伝統を伝えることに注力をしている。

今回、安立打刃物 で活用されているプロダクトは「Simon」になります。
(詳しくは画像をクリックしてください)

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