繊細さや儚さを細い線で表現をするデザインで、男女を問わないタトゥーの作品を提供するMiiさん。
今回は、ご自分のスタジオ&店舗を代々木に移転されたこの機会に、撮影とインタビューを収録させていただきました。
えっと、すいません、それでは自己紹介をお願いしてもよろしいですか?
はい、彫師をしています。「Mii」です。東京を拠点に活動しています。
彫師を始めたのはいつごろからですか?
始めたのは15年ほど前です。独立してからはもう8〜9年になります。
彫師になる前は、どんなことをされていたんですか?
アパレルの専門学校を卒業して、ジュエリーの企画営業をしていました。
なるほど。絵を描くこと自体には、そのころから興味があったんですか?
もともとは趣味で少し描く程度でした。ただ、専門学校でデザイン画の授業があって、そこで「自分は絵が好きかもしれない」と気づいたんです。実際にしっかり絵の基礎を学び直したのは、彫師の師匠についてからですね。

その師匠のスタイルはどのようなものだったんですか?
カラフルで、アメリカンスタイルやキャラクター系、そして和彫りも得意な方でした。当時は彫師自体が少なかったので、オールジャンル対応できることが求められていましたね。
ご自身が絵に自信を持てるようになったのはどんな瞬間でしたか?
線をまっすぐ引けるとか、丸を綺麗に描けることが当たり前と思っていたけど、実はそれが当たり前じゃなかったと気づいた時や、服飾の頃にコンテストのデザイン画が通りやすくて、「絵は通るけど制作で落ちる」という経験が続いたことで、絵だけには自信を持てるようになりました。
独立されたきっかけは?
もともと歌舞伎町の地下にある、窓もないスタジオで複数の彫師と一緒に働いていたんです。でも毎日何人も対応する中で、一人一人にかけられる時間が少ないことに不満を感じて、自分のペースでしっかりやりたいと思って独立を決めました。
当時の代々木八幡という立地も、選ばれた理由があるんですか?
はい。あの街の落ち着いた雰囲気が好きだったのと、渋谷に近いけど騒がしくない、そしてアクセスも良いのでお客さんに来てもらいやすいと感じて。通っていた美容院があったのも大きかったですね。

お客さんの男女比や傾向はどうですか?
女性の方がやや多いですね。割合でいうと6割くらい。でも、男性の方が大きな作品を希望されることが多いので、施術時間は男女で大きく変わらないです。
繊細な線が特徴の作品が多いですよね。
はい。繊細なラインを大事にしています。そういうスタイルを好んでくれるお客さんが集まってきてくれて、ブランドとしても確立されてきました。
タトゥー業界の変化についても教えてください。
私の世代では彫師が一時減っていたんですが、今はすごく増えました。昔は厳しい上下関係があって、修行が必要だったけれど、今はSNSやスクールの普及で、独学でも始められる時代に変わってきました。

そもそも責任感が伴う仕事なので、責任感の話が印象的でした。
そうですね。タトゥーって一生残るものなので、軽い気持ちではできません。だから衛生管理も含めて、技術と意識の両方が必要だと常に思っています。
今後の目標についてもお聞きしたいです。
最終的にはカフェ併設のスタジオを作るのが夢です。ただのカフェではなくて、タトゥーの歴史書や作品集が見られる、図書館のような空間。アーティストの展示やイベントもできるような場所をつくって、施術以外でもお客さんとつながれる場所にしたいんです。


すてきですね。では最後に、空気循環や衛生管理について教えてください。
はい、タトゥーの施術という特性上、お客様が肌を大きく露出されたり、季節を問わず薄着になることが多いんです。なので、まずは空間全体の「温度管理」をとても大事にしています。
じゃあ、季節によって「適温」という概念は結構変わりそうですね。今回使用しているAlexは温風機能もあるから便利かもしれませんね。
そうですね!寒すぎても落ち着かないし、暑すぎても集中力が下がる。特に長時間にわたる施術では、快適な空気環境がとても重要になります。

その点で、今のスタジオは、私にとって理想的な空間なんです。
まず、窓が大きくて自然光が入るし、しっかり空気の入れ替えができる設計になっている。これはスタジオを選ぶ際の決め手のひとつでした。


やはり施術中の空気が淀んでいると、気分的にも衛生的にも良くないので、常に新鮮な空気が循環するよう意識しています。
Alexは立体的な首振りを行いますが、こちらも空気を効率的に回してくれそうですね。
空気の流れをうまくコントロールできていると思います。
エアコンの風って、場所によっては直接当たると不快に感じたりすることがあるので、Alexで空気を分散させて、優しく全体に行き渡らせるような使い方をしています。
特に手術台や施術エリアには、できるだけ直接風が当たらないように工夫していますね。


なるほど。お客さまに快適な空間は確保できている感じなのでしょうか。
そうですね、更に言うと衛生面においても、空気の循環って見落としがちだけどすごく大事で。
インクや消毒液のにおいもこもりやすいですし、万が一にも雑菌がたまりやすい空間にはしたくないので、常に「空気の清潔さ」には気を配っているので助かっています。
他に気をつけられているポイントはありますか?
実は香りにも少しこだわっていて、殺菌や消毒の匂いを中和するような柔らかい香りのキャンドルを炊いていることもあるんです。

消毒の役割はきちんと果たしつつ、少しでも安心してリラックスしてもらえるような空気づくりをしたいなと思っていて。
そういった空気の流れや温度、匂いといった細部まで気を配ることが、タトゥーという“責任あるアート”を提供する上での、大事な土台だと思っています。
プロフィール
Mii|彫師/Tattoo Artist
繊細なライン表現と静謐な世界観を得意とし、男女問わず支持を集める。東京・代々木を拠点に活動。
アパレル・ジュエリー業界での経験を経て彫師の道へ。現在は、空間設計や衛生管理にもこだわったプライベートスタジオを運営。

今回、Miiさんが使用しているプロダクトは「Alex」になります。
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