現代アートを代表する彫刻家の一人である大平龍一氏。チェーンソーを使った大胆な技法もさることながら、繊細な表現や、緻密なコンセプトに裏付けたされた大平龍一氏の作品は多くの人々を魅了している。
今回は、ほとんど屋外と同等の気温でのアトリエでいかに暖を取るか、ヒータファン「Sam little」の作業場の中での利便性について語ってもらった。
昨年12月のゴジラの展示、お疲れさまでした。
ありがとうございます。
レセプションに参加させていただきましたが、インパクトがありましたね。
今回は立体作品が少なくて、平面作品の作家が多かったんです。 立体は中村哲也さんと僕と、それからハロシさんですね。

あの巨大な(ゴジラのハンマー)作品も、かなり好評だったそうですね。
おかげさまで。


今後のスケジュールは、どんな企画が続くのでしょうか?
来年は、冬というか春前ですね。年明けにすぐ大きな展示イベントがあって、それに向けて今制作しています。 今日アトリエにあるオブジェは、まさにそれ用のものです。
来年の12月まで、かなり忙しいと聞きましたが。
そうなんです。本当に忙しくて、スケジュールがパンパンです。 その合間に時々コミッションワークもやっていて、看板制作などもしています。
これまで詳しく伺っていませんでしたが、大平さんの作品にはパイナップルをモチーフにしたものが多いですよね。 そもそも、なぜパイナップルなのでしょうか。
実は…僕もわからないんですよね。
わからないんですか(笑)。
2019年だったと思います。コロナになった年で、2019-2020年の冬に日本橋三越で個展をやったんです。 その時に初めて逆さまのパイナップルを作って、パイナップル以外にもいろいろなものを逆さまにしていたんですが、なぜかパイナップルだけが自分にも見る人にも強く響いて、それが残ることになったんです。
一応説明しておくと、当時の逆さま作品は自分にとっても初めての試みでした。ランボルギーニや本棚、チューリップの花、壺など、いろいろなものをひっくり返してみました。
そこでパイナップルが生き残ったんですね。
今でもなぜパイナップルが僕にも人にも刺さるのか、わからないんです。でも、わからないからこそ使い続けているという感じですね。 答えが見つからなくてもいいと思っています。 むしろ、答えがないほうが面白いというか。
ちなみに、ソフビップル(パイナップルのソフビフィギュア)の販売開始はいつでしたか?
2022年です。あの頃から、パイナップルを強く意識するようになった気がします。

ちなみに私はハワイのパイナップル農園に行ったことがあるんです。もっとも、これは彫刻を始める前の話ですが。 台湾や沖縄にも行かないといけませんね。
確かに。特に台湾は、パイナップルケーキもありますからね。
これがパイナップルハンマーです。
全部木だと思っていましたが、重いですね。
鋳造して作ってあるんです。

ゴジラのハンマーもありますが、これも重いですよね。 5キロ弱あります。真鍮の無垢なので。
ゴジラは販売用と聞きましたが、パイナップルも販売用なのでしょうか?
パイナップルはゴジラの前に売り出したんです。2024年の初めころで、30本限定です。
実際これで金槌として使う人はいないでしょうね。
いないですね。
でも、叩けるんですよね?
叩くことはできます。ただ真鍮なので鉄より柔らかくて、両方とも傷つきやすいんです。
なるほど。では、キャンプでペグ打ちに使えるかと思ったんですが、どうでしょう?
いえ、キャンプに持っていくには重すぎます。
そういえば、今日も寅壱の超超ロングを着ていますね。
愛用しているんです。

何着お持ちなんですか?
そうですね、5着くらいでしょうか。 あとはニッカズボンも…。
今日、アトリエを拝見させていただきましたが、かなり寒いですね。
冬は本当に寒いんです。暖房が使えないので、これで足を温めるのはいいかもしれません。

アトリエでチェーンソーを使って作品を作るんですが、粉と排ガスがひどいので換気が必要で、暖房が使えないんです。 部屋全体を暖める必要はなく、自分だけ温まればいいんです。
なるほど、確かにそうですね。
だからこれなら直接体を温められるので、意外と使えるかもしれません。 つけた瞬間に暖かくなるのもいいですし。足元を温められる点も、デスクワークに向いていると思います。
半屋外での作業には向いていそうですね。
足元を温められることと、換気の必要がないことは、デスクワークにも適していると思います。 デザインも美しいですし。


冬場の作業時の防寒対策として、他に気になる点はありますか?
最近の話ですが、妻(靴の職人)が電熱線の入ったものを使い始めました。妻の工房にも向いているかもしれないと思っています。
奥様にもお勧めしておいてください。
わかりました。
本日は、お忙しいところありがとうございました。 今年のご活躍も期待しています。
プロフィール
大平 龍一
彫刻家、現代美術家。
東京芸術大学大学院修了。現代美術ギャラリーNANZUKA UNDERGROUND所属。2020年以前は木彫を中心に金色が特徴の作品を発表しており、2022年現在はフルーツをモチーフにした木彫や青色を特徴にした作品を多く発表している。