飲食の原点と独立まで
まず、飲食業を始められたきっかけを教えてください。
20歳からです。それ以前は家業の建築を少しやっていたんですが、どうも性に合わなくて。肉体労働が嫌というより、単純に飲食の方が好きだったんだと思います。最初は阿佐ヶ谷の中華料理店でした。
そこから独立までどれくらいかかったんですか?
36歳で独立しました。2011年ですね。ちょうど東日本大震災の年に最初の店を出して、オープンしてすぐに震災でした。

店舗展開と業態の広がり
そこから複数店舗を展開されていますよね。
はい。最初の店がイタリアンで、そこから2店舗目、3店舗目と増えていきました。近くには和食の「ひ暮らし」と隣の「Tefu」、神楽坂には和食ベースでワインも楽しめる店、あとは千葉のいすみ市でグランピング施設もやっています。
グランピング施設もですか。飲食だけではないんですね。
そうですね。ちなみに、建築屋、解体屋、デザイナーなど、同級生や友人と一緒に作りました。
古民家を改装して、盛り土から何から全部自分たちでやりましたね。
店名に込めた意味
どのお店も名前が印象的ですよね。
名前にはそれぞれ意味があります。
最初の「ゴッチス」は“ごちそうさま”のゴッチから。
和食の「ひ暮らし」は契約期間が7年だったので、寿命の短い蝉(ひぐらし)に重ねました。
神楽坂の「ほたる燈」は看板が出せないので、営業開始時の灯りを蛍の灯りに見立てて。
中華「Tefu」は春オープンだったので蝶の旧仮名“てふ”から。
いすみのグランピングは「Lump」。仲間の塊みたいな意味合いですね。
共通するコンセプトは「地元密着」

店舗のコンセプトは共通しているんですか?
はい、全部共通していて、「名前を呼んで接客できる店」です。
常連さんが多くて、家族連れも多い。地元に愛される店でありたいと思っています。
ちなみに隣の「Tefu」とは扉一つで繋がっていますが店舗同士のつながりもあるんですか?
あります。スタッフも行き来しますし、お客さんが共通で来ることも多いですね。「あっちに誰々が来てるよ」ってすぐ挨拶に行ったりします。

空間づくりと空気への配慮
お店の空間づくりで気をつけていることはありますか?
温度や湿度ですね。自分たちは厨房にいると気づきにくいんですが、お客様は乾燥をすごく感じるんですよ。神楽坂の店ではスチームを焚かないと間に合わないくらいで。

香りも重要ですか?
重要ですね。にんにくを多く使うときは換気を強めたりします。料理の匂いは食欲をそそりますけど、強すぎると不快になるので。Erikにレモンや柑橘系のアロマオイルをほんのりする程度で仕込んでおくのを試してみようかなと。
今回試されたErikのデザイン性についてはいかがでしたか?
不思議なフォルムですよね、使ってみるとすぐ馴染みました。暖炉みたいな見た目で、目は引くけど空間に溶け込むんですよ。色も変えられるので、パーティーの時なんかは赤や青にしても面白いかなって思っています。

今後の展望
これから新しい店舗の予定はありますか?
計画はいつも後付けですね。人が育って、少し余裕が出たら「次、何やろうか」と考える。今は若いメンバーに飲食を任せて、自分は宿泊業とかも面白いなと思っています。
飲食以外の可能性も視野に?
そうですね。グランピングや宿泊施設はすごく可能性を感じています。

最後に、店づくりで一番大事にしていることは何でしょうか?
人ですね。仲間、スタッフ、常連さん。
店は建物じゃなくて、人との関係でできていると思っています。
地域に根ざした店づくりと、人を中心に据えた接客。
業態や場所が変わっても、その軸は変わらない。
対談を通じて見えてきたのは、「空間」と「人」を丁寧に重ねていく姿勢でした。